2026年のツール・ド・フランスがいよいよ開幕する。個人的に今年最も注目しているチームのひとつが、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエだ。その理由は単純で、レムコ・エヴェネプールがいるからである。
ヒルクライムを競技の軸に置いている自分にとって、エヴェネプールは純粋に「強さとはなにか」を体現している選手だ。TTでは圧倒的な出力を発揮しながら、山でも遅れない。オリンピック金メダリストにして世界チャンピオン、そしてグランツール覇者。これだけの実績を持ちながら、まだ伸びしろがある。今年のツールでどんなレースを見せるか、開幕前から楽しみで仕方ない。
ダブルリーダーという戦略
チームは今年、エヴェネプールとフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)の2名を共同リーダーに据える布陣を発表した。両者は過去2年のツールで同じ成績——ヤングライダー賞と総合3位——を残しており、タイプの異なる2枚看板として初めてリーダーコンビを組む。
エヴェネプールの爆発力とリポヴィッツの安定感は確かに補完関係にある。ただ個人的には、どこかの局面でエヴェネプールが「自分でレースを壊しにいく」シーンを期待している。TTや急勾配の短い登りで独走を決めるような展開になれば、おそらく誰も追えない。
8名のメンバー
🏔️ 山岳陣
ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)
2022年ジロ・デ・イタリア覇者で、今年のジロでも総合3位。3週間を通じて山で崩れない安定感はチームに大きな安心感をもたらす。開幕週のピレネー(コル・ダスパン、コル・デュ・トゥールマレー)ではツールデビュー時に区間優勝とマイヨ・ジョーヌを経験しており、土地勘もある。
マキシム・ファン・ヒルス(ベルギー)
大きな落車から約4ヶ月で復帰し、復帰初戦で区間優勝を飾った。登りでのパンチ力は本物で、山岳ステージでサポートにとどまらず自ら勝負に出られる選手。チームの戦術の幅を広げる存在だ。
🚴 レース全体を支える選手たち
ヤン・トラトニク(スロベニア)
ロードキャプテン。混乱する集団の中でのポジショニングやペーシングを仕切る役割で、地味ながらレースの流れを左右する重要な存在。
マッティア・カッタネオ(イタリア)
キャリア15回目のグランツール出場という経験値は別格。開幕チームTTではエヴェネプールとの連携が機能するかが注目点になる。
⚙️ 平坦の”エンジン”
ニコ・デンツ(ドイツ)
逃げとスプリント力を持つグランツール巧者。チームとのジロでは通算3度の区間優勝を飾っており、平坦ステージでのコントロールと逃げの両方をこなせる。
ティム・ファン・ダイク(オランダ)
ツール初出場の若手。今年のオムロープ・ニュースブラッドで2位に入った実力者だが、その後の高地合宿中に鎖骨を骨折。しかし開幕に間に合うかたちで完全回復し、万全の状態でデビューに臨む。
出場メンバー一覧
| 選手名 | 国籍 | 主な役割 |
|---|---|---|
| レムコ・エヴェネプール | ベルギー | 共同リーダー(GC・TT) |
| フロリアン・リポヴィッツ | ドイツ | 共同リーダー(GC) |
| ジャイ・ヒンドレー | オーストラリア | 山岳エース |
| マキシム・ファン・ヒルス | ベルギー | 山岳サポート・ステージ狙い |
| ヤン・トラトニク | スロベニア | ロードキャプテン |
| マッティア・カッタネオ | イタリア | TTスペシャリスト・アシスト |
| ニコ・デンツ | ドイツ | 平坦エンジン・逃げ |
| ティム・ファン・ダイク | オランダ | 平坦エンジン(TDF初出場) |
個人的な見どころ
ヒルクライマーの視点で言うと、エヴェネプールが真価を発揮するのは純粋な長距離山岳よりも、TTフィニッシュや短い激坂が絡むステージだと思っている。そこでリポヴィッツが先に集団をふるい落とし、エヴェネプールがTT力で突き放す——そんな分業が機能すれば、他チームは対策の立てようがない。
自分がノリクラのチャンピオンクラスで戦う立場から言えば、「W/kgを極限まで高める」というアプローチは同じ。スケールは全く違うが、エヴェネプールがどう山をこなすかは純粋に学びになる。今年のツールは彼を中心に追いかけていくつもりだ。
※本記事はRed Bull – BORA – hansgrohe公式発表をもとに、筆者の視点を加えて構成したものです。

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